スノーボードでよく言う「スタイル」とは何か

unsplash-logoJoshua Reddekopp

「あの人はスタイルが出てる」なんて表現をスノーボードの世界ではよくしますが
スタイルを出すにはどうすれば良いのか、一体このスタイルとは何か。

イマイチぼんやりとしているこの表現ですが、スタイルが出ていると言うことは
スノーボード(と言うよりスポーツ、更には日常生活)において非常に重要なことだと考えていますので
私の考えを書きたいと思います。

スタイルが出ている状態とはどのような状態か

一般的にはざっくりと

ちゃんと滑れててカッコイイ!!
切れ感があってカッコイイ!!
トリックの完成度が高くてカッコイイ!!

くらいに捉えられているのではと思います。

もう少し真剣に考えると
同じ滑り・同じトリックをしていても人を引きつける、何ならスノーボード未経験の素人にも伝わる凄さを醸し出している人と
そうでない人がいますが、この差が「スタイル」と表現されているのだと思います。

この「スタイルが出ている」の具体的な正体についてですが
私はずばり体幹を使った運動が出来ている状態だと言えると考えます。

体幹を使った運動が出来ていると、それは
主体的(自身の意思で、自分主動で)で
絶対的(外的要因や偶然に頼らずなるべくしてそうなっている状態)で
安定的(自身の技術レベル内で、再現性があり毎回同じようにできる)
なものとなります。

体幹を使った滑り

体幹と言うとよく「インナーマッスルがー・・・」などと言われがちですが
ここで言う体幹とは体の中心に近い部分にあると言われるインナーマッスルやコアマッスルのことではないです。

ここで言う体幹とはその人がスポーツや日常の動作を行う際に主導的に使用している具体的な筋肉群のことです。
この主導的に使用している筋肉群と言うのは概ねの傾向はありますが全員異なります。

例えば何か重いものを動かす時、ある人は押したがるし、ある人は引っ張りたがります。
これはこの筋肉群が異なるためです。
俗に言う体の使い方が異なるということです。

そしてこれはスノーボードにも当てはまります。

同じ滑り、同じトリックをするのに全員アプローチが違い、滑り姿やトリック中の姿勢が異なったりします。
それはそれぞれのライダーで異なる個性的なものとなり、スタイル(スノーボードの種目の"スタイル"ではなく、滑り方のこと)の違いとして現れます。

また客観的には同じ動き、姿勢をしているように見える二人も、本人達に聞くと全く異なるイメージでその動作を行っていたりして
これが同じ動作に対するやり方の説明の食い違いの発生に繋がります。

プロライダー達が同じカービングターンやトリックに関して説明を行っているのに
全員言ってることが全然違う理由がここにあります。
結果的に同じ動作を実現してはいますが、根本的に体の使い方が違うのです。

スノーボードにおける体幹を使った滑りというのは
自分の体の使い方を踏まえ、それを正しく使ってスノーボードを行っている状態です。

そして悲しいことに、ごく一部のスノーボーダーを除き、多くのスノーボーダーが体幹を使って滑れていないことにより、
うまく滑れないどころか怪我をしたり、あるいは不安定感から来る恐怖や、思い通りにならないもどかしさややりにくさを感じながら
スノーボードをしているように思われます。

なぜ多くのライダーが体幹を使って滑れないのか

通常人は何か物を持ち上げるときや歩く時等、日常の何気ない、誰にも教わらずに大昔から気づけば自然に行っている動作に関しては
各人の体の使い方を鑑みた上で、より正しい方法で行っています。

街を歩いている人を見ていても皆歩き方が異なり、個性的でスタイルが出ています。

では何故スノーボードではごく一部の人しかそれが出来ないか。

多くの人は大人になってから、多くの予備知識を持った状態で
あるいは誰かインストラクターや先輩であったりが提供してくれる情報を聞いた上でスノーボードに挑むからだと思います。

単純物理の知識や、常識や固定観念に従い、こうすればうまくいくに違い無い、とか
こうするものである、とか。
あるいはインストラクターや先輩が言う「目線がこうで〜手の位置がこうで〜膝を曲げて〜」とか
そういったアプローチをするからおかしくなるのだと考えています。

たかだか1〜2m程度の"板切れ"に乗って雪の上を滑るだけなのに、
なぜか1300ccの大型バイクに乗るような感覚で操作しようとしている、
あるいはインストラクターも含め、そのように指導している人が多すぎるのです。

クラッチを切ってギアを1速に入れ、アクセルを少し開けて3000回転まであげてキープして
クラッチレバーをじわじわ離して〜・・・みたいな。

どうすれば体幹を使って滑れるか

上記で述べたような予備知識や固定観念の無い小さな子供にスノーボードを教えると
面白いほど自分の好きなようにやりだします。

出来ないこと(=その子の体の使い方を無視した指導)を強要すると
出来ないもん!っといった感じで怒られたり拗ねられたりします。

大人も、これでいいのです。

細かい体の使い方、やり方、具体的な方法論については誰にも教わらず、
あるいは誰かに教わるにしても参考にする程度にとどめておき
スノーボードの滑り方の知識のみを学びます。

例えばカービングターンというものがあることや、グラトリやエアにはこんな技があるといったこと
それからそれらでやってはいけない危険なことや安全に関わる知識等
スノーボードそのものの知識のみを学び
それを具体的に実践する時は自分の好きなようにやればいいのです。

具体的にどのような体の使い方をすれば良いかは体が教えてくれます。
自分にとって不自然な動きをした時、バランスを崩したり可動域が減ったり、痛みを感じたり不安定から来る恐怖を感じます。

今現在それらを感じている人は、今一度そのような観点で滑りを見直してみてください。
先輩が何を言ったから、とか
プロライダーのXXさんのキャンプでこう言われたから、とか
スノーボード論的に・・・とか
整体学的に・・・とか

そんなのは体の使い方に関しては関係無い…は言い過ぎですが
二の次三の次どころかそれ以下の優先度です。

自分の体の使い方は自分にしかわかりません。
自分の体に聞いてみて、素直に、ひたすら素直に滑ってみてください!

0 件のコメント :

コメントを投稿